新型コロナウィルス感染症の影響で、飲食店をはじめさまざまな業種で売上の大幅な減少となっています。
売上減少で大きな負担になるのが固定費です。
固定費の中でも家賃は、売上の有無にかかわらず毎月発生します。
事業者の事業継続を支援するために、家賃の負担を軽減する目的で創設されたのが、「家賃支援給付金」です。
支給対象者について
次の①、②、③すべてを満たす事業者が支給対象となります。
①資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者
②令和2年5月~12月の売上高について、新型コロナウィルスの影響により1ヶ月で前年同月比50%以上減少していること、または、連続する3ヶ月の合計で前年同期比30%以上減少していること。
③自らの事業のために占有する土地・建物の賃料の支払いを行っていること。
売上減少の要件として、「1ヶ月の売上が前年同月比で50%以上減少」とあり、これは持続化給付金と同様の要件となっていますが、対象期間が異なるため注意が必要です。
給付額について
法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円が一括支給されます。
算定方法については、申請時の直近の月額家賃に基づいて算出される給付額(月額)の6倍(6ヶ月分)が支給されます。(上限あり)
まずは法人の算定方法を見ていきたいと思います。
法人の場合、月額家賃のうち75万円までの部分については3分の2(上限50万円)が支給されます。
月額家賃が75万円を超える部分については3分の1(上限50万円)支給されます。
例 月額30万円の家賃を支払っていた場合。
30万円×2/3 = 10万円 10万円×6ヶ月 =60万円が給付金として支給されます。
例2 月額家賃が180万円の場合
75万円×2/3 = 50万円
(180万円ー75万円)×1/3 = 35万円
(50万円+35万円)×6ヶ月 =510万円が給付金として支給されます。
ですので、月額家賃が225万円であれば、支給額が月額上限の100万円の6ヶ月で満額の600万円が支給されることになります。
次に、個人事業者の場合の算定方法を見ていきたいと思います。
個人事業者については、月額家賃のうち375,000円までの部分については3分の2(上限25万円)が支給されます。
月額家賃が375,000円を超える部分については、3分の1(上限25万円)が支給されます。
例 月額30万円の家賃を支払っていた場合。
30万円×2/3 = 10万円 10万円×6ヶ月 =60万円が給付金として支給されます。
例2 月額家賃が90万円の場合
375,000円×2/3 = 25万円
(90万円ー375,000円)×1/3 = 175,000円
(25万円+175,000円)×6ヶ月 =255万円が給付金として支給されます。
個人事業者の場合、月額家賃が1,125,000円であれば、支給額は月額上限の50万円になり、6ヶ月で満額の300万円が支給されることになります。
申請方法と添付書類について
申請方法については、パソコンやスマフォで家賃支援給付金のホームページにアクセスしてWEB上での申請手続きとなり、持続化給付金と同じような流れになると思われます。
基本情報や売上情報のほか、家賃支援給付金では賃貸契約の内容(貸主の情報、管理会社の情報、物件情報、契約期間や賃料など)も入力することになります。
受付開始後、補助員が入力サポートを行う「申請サポート会場」も順次開設されますので、WEBでの申請が困難な場合は、こちらをご利用いただければと思います。
添付書類についても、ほぼ持続化給付金と同じです。
・2019年の確定申告書別表一の控え
・法人事業概況書の控え
・受信通知
※確定申告書別表一に収受印日付の押印、または電子申告の日付・受付番号が記載されている場合には「受信通知」の添付は必要ありません。
・申請に用いる売上が減った月・期間の売上台帳など
・給付金の振込口座の通帳の表紙と1ページ、2ページ目の写し
・個人事業者の場合は、本人確認書類
さらに家賃支援給付金については次の書類も必要になります。
・賃貸契約書の写し
・直前3ヶ月間の賃料の支払い実績を証明する書類(銀行取引証明書、賃借人からの領収書、所定の様式による賃料を支払っている旨の証明書)
通帳の写しや振込明細書、領収書がこれに該当します。
新規開業の場合の特例
2019年に新規開業した事業者については、2019年の平均売上を用いて、給付金の判定を行うことができます。
個人事業者の場合で見ていきたいと思います。
例 2019年10月に開業し、2020年の6月の売上を申請に用いる場合
月 | 10月 | 11月 | 12月 |
売上高 | 50万円 | 50万円 | 80万円 |
2019年の売上合計 180万円 平均売上高60万円
2020年6月の売上高 20万円
60万円×50%=30万円>20万円 50%減少に該当し申請可能
例2 2019年10月に開業し、2020年の5月~7月の売上を申請に用いる場合
月 | 10月 | 11月 | 12月 |
売上高 | 50万円 | 50万円 | 80万円 |
2019年の売上合計 180万円 平均売上高60万円
2020年5月~7月の売上合計が120万円
60万円×3×70% =126万円 > 120万円 30%減少に該当し、申請可能
このように2019年に新規開業して、対象月や期間の前年売上がない場合でも、開業日からの平均売上を用いて判定をすることができます。
また2020年1月から3月までの間に設立した会社や開業した個人事業者についても給付の対象とする方向で検討がすすめられています。
公表までいましばらくお待ちください。
まとめ
家賃支援給付支援金について、基本的なことをまとめてみました。
詳細については、下記の経済産業省のホームページをご確認ください。
新型コロナウィルスの影響で売上が減少した事業者については、家賃支援給付金を受けて事業の継続を図りましょう。
※2020年7月8日現在の情報に基づいています。最新の情報については経済産業省のホームページをご確認ください。