業績管理と経理業務の効率化を得意とする税理士の三松です。
会社の決算が終わって税理士さんから税金の額を聞いて、「そんな高い税金払えないよ!」となったことはないでしょうか?
もちろん、毎月しっかりと経理を行って経営数字を見ていればそんなことにはならないのですが、中小企業は経理をないがしろにしがちです。
申告期限間際になって、慌てて税金のための資金繰りに奔走されることもあります。
今回は、そういったことにならないためにしっかりと準備をしておきましょうというお話です。
利益を別口座で積み立てる!
会社であれば利益に対して約30%の税金がかかってきます。
利益、つまり儲かった部分に対して税金がかかるということです。
言い換えれば、儲かった以上に税金を払うことはありません。
毎月の利益を確認して、その利益分のお金を別口座に振り替えて積立てしておけば「そんな高い税金払えない」ということは絶対にありません!
毎月、利益分が貯金されていきますのでお金が貯まっていき、そこから約30%だけ税金で引かれて、70%のお金が会社に残るということです。
細かい資金繰りの話を除けば、会社のお金の流れはこういった仕組みです。
会社が儲かっていれば、利益の70%のお金がどんどん貯まっていきます。
借入金がない会社であれば、このように利益を別口座で管理していく方法がベストです。
しかし、どうしてこれができないのか?
やはり資金繰りの問題があるからです。
会社は儲けたお金でさらに儲けるために、新たな材料や商品を買ったり、設備投資したりと、利益を事業に投資していきます。
また、金融機関からの借入金は、利益から返済しなければなりません。
だから、儲かった利益から、少しずつお金が減ってしまい、税金が払えないとなってしまうわけです。
しかし、これは事業活動を行っていく上で自然なお金の流れです。
ですので、利益を丸々別口座に振り替えて管理するのは、なかなか難しいといった現実があります。
税金分だけ別口座で積み立てる!
利益分を別口座で積み立てできればベストですが、現実的には難しいことがお分かりいただけたかと思います。
では、どうする方法がいいのか?
税金分だけ別口座に振り替えて、積み立てをしていきましょう!
利益ではなく、税金に着目しましょうということです。
毎月の利益を把握しているのであれば、その利益に30%を掛ければ、ざっくりとした税金の額が計算できます。
その30%分を毎月、別口座で貯金していきましょうということです。
儲かっていると、儲かった分全部使っちゃうなんてことがあるかもしれないので、先に税金分だけ除いてしまえという考え方です。
こうすることで、残りの70%は会社で自由に使っていいお金になります。
借入金の返済に充てたり、新規事業に投資したりと、将来の業績悪化に備えて貯めておくといったことができます。
簡単な例を挙げると、会社員の給料と同じです。
給料は税金を引かれて、支払われます。
その手取り額で、生活のやり繰りをしなければなりません。
そして年末調整で精算されるので、会社員の方は税金を払っているという感覚は薄いように感じます。
このように、会社でも税金分を先に支払った形にしておけば、税金に対する資金繰りの負担は軽くなるはずです。
税金分を積み立てる場合、毎月の利益によって積み立てる額が変動しますので、利益が少なければ積み立てる額も少なくなりますし、月の利益が赤字であれば積み立てる必要はありません。
また、赤字が続くと資金繰りが苦しくなり、積み立てたお金を使いたくなるかもしれませんが、なるべく残ったお金で資金繰りを回すようにしておきましょう。
積み立てるためには毎月の業績管理が大事!
利益を積立てる方法はもちろんのこと、税金分を積立てる方法であっても毎月の業績管理が必要になります。
毎月の業績管理をすることで、今、どれくらいの利益が出ていて、どれくらいの税金が必要なのかということがわかるからです。
業績管理をするメリットはそれだけではなく、早めに税金の額がわかれば節税対策にも取り組めますし、業績が悪くなった時の対策も早めに打つことができます。
こういったことは、毎月、経営数字を見ているからこそ気づけるものです。
中小企業であっても、業績管理の重要性に気づいていただき、経理をしっかりやっていくことが必要です。
まとめ
税金の支払いに困らないための方法を解説いたしました。
日々の資金繰りは少し苦しくなるかもしれませんが、先に使えるお金から除いていくことが税金の支払いを楽にするベストな方法です。
そのための日々の経理をしっかりやって、毎月の業績を確認しておきましょう。