会計帳簿をつけるためには、現金と預金の管理がすべての出発点となります。
預金の動きは通帳を見れば簡単にわかりますが、現金の動きは帳簿をつけてしっかり管理しないと把握できません。
他のことをいくらしっかりやっていても、現金の管理が甘ければ「経営管理」はうまくいきません。
逆に現金の管理がしっかりできている会社は70%くらい自社での経理(自計化)が完成していると言っても過言ではありません。
今回は、経営管理の基本である現金管理についてお話したいと思います。
現金出納帳をつけるメリット
現金を管理するためには、取引内容と残高をしっかり管理しなければなりません。
そのためには、現金出納帳という帳簿を毎日記帳していくことが重要になります。
現金出納帳をつけるメリットは次の3つです。
1つ目 お金の動きがわかります。
会計の基本は、日々の活動を数値で正確につかむことと、資金ショートを起こさないことです。
現金出納帳をつけることで、あたりまえですが毎日のお金の動きを把握することができます。
現金出納帳をつけることが、現金、預金の管理体制の基礎を作る重要なことになります。
2つ目 最低限必要な資金がわかります。
毎日、現金出納帳をつけることで、日、週、月ごとに必要なお金がわかるようになります。
資金ショートを起こさないための管理の基本として、いつ頃、いくらのお金が必要なのかを3ヶ月、もしくは半年先まで見通しておくことが大切になります。
日々のお金の流れを把握することで、将来に必要なお金が見えてくるということです。
3つ目 必要な売上高がわかります。
現金出納帳をつけることで最低限必要な資金がわかれば、資金ショートさせないための売上高がわかります。
3ヶ月先にいくら必要なのかがわかっていれば、3ヶ月前から余裕をもって手を打つことができます。
早め早めに資金繰り対策が打てるように、先を見通す仕組みを作ることが重要となります。
現金管理を実地する際のポイント
現金管理のポイントは自分の財布(プライベート)と会社の金庫の現金(事業用)をしっかり区分して管理することです。
そこを曖昧にしてしまうから、現金管理が杜撰になってしまうのです。
とは言っても、この区別が中小企業の社長にとっては、なかなか難しいみたいです。
「会社のお金は、社長のお金」という考え方になってしまっている方が多いからではないでしょうか。
会社のお金は、会社のお金です。
個人の支出はしっかり会社から給料をもらって、自分の財布から支出するようにしましょう。
また社長の場合、会社の経費を立替払いすることもあると思います。
そんな時は、会社で精算してもらうという意識を持ちましょう。
自分の財布から支払った経費の領収証と交換に会社のお金からその分を支払ってもらうということです。
精算が難しいとか、めんどくさいと思われる方は、会社用の財布を作るのも一つの手です。
事業に関わる支払いは会社用の財布、プライベートは自分の財布から出金するといったルールを決めてしっかり区分できるようにしましょう。
現金出納帳の書き方
会社と個人の区分ができたら、いよいよ現金出納帳の出番です。
会社の金庫の残高を明確にしたうえで、現金の出し入れを現金出納帳に毎日記帳するようにしましょう。
そして毎日、現金の出入りを記帳して、1日の終わりには金庫やレジにある現金の残高と記帳残高が合っていることを確認しましょう。
日々の現金残高を合わせることは重要なポイントです。
記帳がたまってしまうと、現金残高が合わなかったときに合わせるのが大変になります。
現金管理をしっかりするという意味でも、毎日合わせることを心がけましょう。
現金出納帳の書き方については、こんな感じです。
日付 | 相手先 | 内容 | 入金 | 出金 | 残高 |
7月10日 | Aスーパー | 食材仕入れ | 15,000円 | 150,000円 | |
7月10日 | ○○様 | 売上代金 | 12,000円 | 162,000円 | |
7月15日 | ホームセンター | 備品購入 | 32,000円 | 130,000円 | |
7月15日 | B商店 | ドリンク仕入 | 25,000円 | 105,000円 |
「何の入金か、何の支払いか」といった入金の内訳、支出の内訳をはっきりさせて内容を明確にすることが重要になります。
これについても、記帳を溜めてしまうと、内容がわからなくなってしまうこともあるので、なるべく毎日記帳するようにしましょう。
最終的に、レジや金庫、事業用の財布にある実際の現金残高と、現金出納帳の残高(ここでは105,000円)が一致しているかを確認します。
会計システムに直接入力して管理すれば一石二鳥
「現金出納帳をつけましょう」というと、手書きの帳面を想像されて「毎日記帳するのはたいへんなのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。
これについては、手書きはめんどくさいと思われる方もおられますし、手書きの方が楽とおっしゃられる方もおられるので人それぞれといった感じです。
手書きがたいへんだと思われる方は、エクセルで管理してもオッケーです。
エクセルで同じようなシートを作成して現金管理をすれば、残高は計算式を入れておけば、自動計算になり手間も省けることになります。
また、会計システムを使用している場合、作成した現金出納帳に基づいて、会計システムへの入力を行わなければなりません。
どうせ会計帳簿を会計システムで作るのであれば、会計システムに直接入力してシステム上で現金管理をすれば経理業務の効率化が図れ一石二鳥だと思います。
会計システムで管理する場合についても、「日付と金額と内容」さえ入力すれば現金出納帳が出来上がるように設計しておけば、現金管理と会計帳簿の作成が簡単にできてしまいます。
ぜんぜん、難しくありません。
ですので、会計システムを活用した現金管理をおすすめしています。
それでも現金管理が難しければキャッシュレス決済を利用する!
現金出納帳の書き方をお伝えしましたが、それでもやっぱり難しい、できなさそうと思われた方はキャッシュレス決済をおすすめします。
クレジットカードやペイペイなど電子決済を利用すのです。
会計システムにもよりますが、電子決済のデータは会計システムと連動することができます。
ということは、自動で決済情報を会計システムに取り込んで、自動で現金の管理ができてしまうということです。
めっちゃ便利です。
難点は、電子決済を採用していない小さな商店の場合は、この方法が使えず、やはり現金出納帳をつけなくてはいけません。
しかし最近では、ほとんどのお店が電子決済を採用しています。
電子決済を利用することで、現金管理の省力化が図れるのではないでしょうか。
まとめ
何度も言いますが、現金管理が経営管理を始める基本です。
「会計」を経営に活かすためにも、まずは現金の管理からしっかりはじめてみましょう。