業績管理と経理業務の効率化を得意とする税理士の三松です。
今回は、融資を受ける場合の「資金使途」についてです。
資金使途が明確であれば、融資がスムーズに進む可能性が高いですし、逆に資金使途が明確でなければ融資が受けられない可能性も出てきます。
資金使途とは?
資金使途とは、簡単に言うとお金の使い途です。
金融機関からすると融資を行ううえで気になるのが、「貸したお金を一体何使うのか?」ということです。
もちろんその先にある、「どうやって返すのか?」にもつながっていきます。
「借りたお金で商品を買って、その商品を売って、その売上代金で融資を返済します」という説明ができれば、資金使途が明確です。
「ちょっと経費の支払いが足りないから」、「固定資産を買おうかなと思って」など曖昧な感じだと金融機関も「融資して大丈夫なのか?」、「本当に返済できるのか?」と不安になってしまうということです。
ですので、融資を受ける場合は、資金使途を明確にしておくことが必要になります。
資金使途を明確にする!
ここでは、具体的な2つの資金使途について見ていきたいと思います。
資金使途の一つは「運転資金」です。
運転資金とは営業活動に必要なお金です。
一般的には、商品の購入代金の支払いから販売代金が回収されるまでタイムラグが生じます。
もっと簡単に言うと、商品の購入代金がないと売上が上がらない、だから商品の購入代金を銀行から融資してもらうということです。
具体例を挙げると、銀行から500万円の融資を受けて、商品を購入し、それを800万円で販売して、その売上代金で500万円の融資を返済するといった流れです。
この場合、500万円が運転資金ということになります。
「融資を商品代金の購入に充てますよ」といった資金使途が明確になりますし、商品が売れたら返済できるということも銀行に説明することができます。
今回は簡単な例ですが、運転資金の融資を受ける場合は、資金繰り表を用いてお金の流れを説明することも効果的になります。
資金繰り表を使えば、「このタイミングで資金がショートするから、これだけの資金が必要になる」といったことが明確に説明できるからです。
資金使途のもう一つは「設備資金」
設備資金とはその名の通り、設備(建物、機械、車、器具備品など)の購入に必要なお金です。
設備投資には大きなお金が必要になります。
ほとんどの中小企業は、設備投資を一括で払えるほど現金を持っていないのが現状ですから、銀行から融資を受けて設備投資を行うことになります。
設備資金を明確にするためには、「何を買うか」を明確にする必要があります。
本社の建物なのか、最新の機械なのか、車なのかといったところです。
設備投資の場合、見積書等の提出を求められますの、そういった書類で説明することになるでしょう。
また、「その設備投資によってどういった効果が期待できるのか?」といったことの説明も必要です。
銀行は融資をするのと同時に、どうやって返してもらうかを考えています。
設備投資をすることによって、「機械の生産性が上がり売上が2倍になりますよ」とか「社内の効率化によって残業代が減らせます」といったように利益アップにつながって、その利益で融資を返済できますよといったことを明確にしておくと融資がスムーズに進むのではないでしょうか。
資金使途違反には気をつける!
資金使途違反とは、資金使途を明確にして融資を受けたにもかかわらず、別の事にお金を使ってしまうことです。
代表的な例で言うと
設備資金で融資を受けたのに、運転資金に使ってしまった。
運転資金で融資を受けたのに、株式投資や社長への貸付金に充ててしまった。
こういった事例は、決算書を見ればすぐにわかることです。
意図的に行ったか否かにかかわらず厳しい処分がまっています。
違反が判明した時点で、一括返済を求められたり今後の融資が受けられないといった厳しい処分を受ける可能性があります。
資金使途違反には十分に注意しておきましょう。
まとめ
事業を継続し発展していくためには、金融機関からの融資が必要になるときが必ずあります。
資金使途を明確にし、融資がスムーズに行われるように日ごろから資金繰りの意識を持っておきましょう。