3月決算法人の申告期限が5月末ということで、そろそろ決算の数字が固まり、税金の額が算出されている頃かと思います。
社長の中には「税金は払いたくないな」と思っている方も多いと思います。
なぜ、税金を払いたくないのかその理由を聞いてみると、「税金は掛け捨てだから」という答えが返ってきました。
本当に税金は掛け捨てなのでしょうか？
税金を払わないと会社にお金は残らない！
大前提として、税金を払わないと会社にお金は残りません。
100万円の利益が出ている場合の税金は、会社の場合ざっくり30万円です。（100万円×30％）
税金を払った場合、70万円（100万円ー30万円）のお金が会社に残ります。
しかし、「税金は払いたくない」と社長が思って経費を100万円使ったとします。
利益が0円になるので、税金も0円になります。
しかし、会社に残るお金も0円になってしまいます。
利益を全部使うという極端な話ですが、節税するために経費を使えば使うほど、節税額以上にお金が出ていき、会社の資金繰りが苦しくなってしまいます。
先ほどの例で言うと、30万円の節税のために100万円の支出をしていることになるからです。
税金を払わないと会社にお金が残らないということをしっかり頭に入れて経営をしないと、節税ばかりに走ってしまうと自分で会社の資金繰りを苦しくしてしまいます。
税金が掛捨てではない理由！
税金を払いたくない理由は、見返りが見えいない部分が大きいかと思います。
道路であったり、公共施設のサービスであったりと間接的には税金に対するサービスを受けてはいるのですが、やはり実感としては薄い部分があります。
もちろん納税は国民の義務なので、見返りを求めてはいけないのですが、経営者である以上、無駄なことに使いたくないといった気持ちもわからなくはないです。
ここでは、会社で税金を払うことによってどのようなメリットがあるのかを見ていきたいと思います。
銀行融資が受けやすくなる！
税金を払うことのメリット一つは、銀行融資を受けやすくなることです。
その理由は、税金を払うということは、しっかり利益が出ている会社ということになるからです。
節税対策のほとんどが利益の圧縮のため、節税ばかりしていると儲かっていない会社という見方をされてしまいす。
しかし、しっかり税金を払っておけば、利益が出て業績が良い会社というイメージを金融機関に与えることができます。
また、税金を払っていけば内部留保が増え、貸借対照表の純資産が厚くなり、会社の評価が上がります。
銀行員が貸借対照表を見たときに、一番重要視するのが「純資産」です。
純資産がマイナス（いわゆる債務超過）の場合には、融資で不利になる可能性が高くなってしまいます。
この純資産を大きくするためには、増資して資本金を増やすか、税金を払った後の利益を積み重ねていく方法しかありません。
事業を継続していくうえで、銀行融資を受けることは必要不可欠だと思います。
経営状態が悪くなったときにも、耐えられるように自己資本を充実させておくことも必要ですし、自己資本が大きければ銀行からの評価が上がり、融資を受けやすくなります。
税金を払うことで、将来の経営危機に対するリスクヘッジができるということです。
会社の価値（株価）が上がります！
先ほどもお話したように、税金を払うことで純資産が大きくなれば、その分会社の価値（株価）も大きくなります。
将来、会社の出口戦略としてM&Aを考えられてる方であれば、将来自社の株が高値で売れるということです。
現在では中小企業であっても、M&Aで会社を売却するといったことが行われています。
株の売却益を退職金代わりに受け取るといった中小企業の経営者もおられます。
もちろん、次の世代に引き継いで会社を存続させていくといった思いの経営者もおられますが、企業価値を高めてどこかに売ってしまうというのも一つの戦略です。
会社の株を高く買ってもらうためには、会社の価値を高めておく必要があります。
そのためには、利益を出して税金を払って純資産を高める必要があります。
税金を払うことが掛け捨てではなく、将来のキャピタルゲインを得るための費用といった考え方ができるのではないでしょうか。
まとめ
税金は掛け捨てではありません。
将来の経営危機に備えるための費用でもあり、自社の価値を高めて利益を得るための費用といった考え方もできます。
極端な節税に走る前に、まずは会社にお金を残すことを考えていきましょう。