社会福祉法人の本部経費の会計処理

社会福祉法人、特に保育所運営の経理サポートの力を入れている大阪の税理士、三松です。

今回は社会福祉法人の本部経費の会計処理について解説したいと思います

 

本部経費とは?

本部経費とは、社会福祉法人を運営していくうえで必要となる経費のことです。

具体的には、法人役員の役員報酬、理事会、評議員会の運営に係る経費、その他法人本部に帰属することが妥当な経費とされています。

 

これらの経費は、本部拠点区分等の経費にしなければならないとされています。

 

社会福祉法人では本部会計については、本部を拠点区分又はサービス区分として施設とは別に会計処理しなければならないことになっています。

施設の運営とは別の経費は、施設の経費にしないでねということです。

 

ですので、本部を独立した拠点区分又はサービス区分として、本部運営に係る経費については、そこで会計処理することになります。

本部を拠点区分またはサービス区分とするの法人の自由とされていますが、おすすめは拠点区分としておく方が良いかと思います。

特に施設が複数あるとか、将来的に施設を増やす予定の場合はサービス区分とするより拠点区分として独立させておく方が経理上の管理がしやすいと思います。

 

社会福祉法人の本部経費の会計処理

何度も言いますが、法人本部の経費は本部拠点区分等で会計処理しなければなりません。

本部の経費を保育所等の社会福祉事業の施設で支払った場合でも同じです。

 

では、社会福祉事業の施設で本部経費である役員報酬を支払った場合の仕訳をみていきたいと思います。

ここでは、本部は拠点区分として仕訳を考えます。

 

まず施設拠点区分の会計処理です。

施設拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)拠点区分間貸付金 ○○円  / (貸方)普通預金  〇〇円

 

このように、社会福祉事業の施設で支払っても施設の経費になりません。

施設では、本部に対する貸付金として処理することになります。

本部の経費を施設で立て替えて支払っているといった考え方です。

 

続いて、本部拠点区分の会計処理を見ていきたいと思います。

本部拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)役員報酬 ○○円  / (貸方)拠点区分間借入金  〇〇円

役員報酬は法人本部の経費となるべきものですので、施設で支払っていたとしても、本部拠点区分の経費として会計処理することになります。

本部拠点区分としては支払いをしていないので、相手科目は拠点区分借入金とします。

施設から資金を借りてきて支払ったという感じです。

 

その他の経費についても同じよう会計処理することになります。

例えば、理事会のお茶代などであれば次のように仕訳することになります。

 

施設拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)拠点区分間貸付金 ○○円  / (貸方)現金  〇〇円

 

本部拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)会議費 ○○円  / (貸方)拠点区分間借入金  〇〇円

 

このように、法人本部の経費は、本部拠点区分で経費処理するということが基本になります。

 

法人本部への繰入れについて

本部の経費は施設で立て替えて支払ったもらったという形で会計処理しますので、本部拠点区分としては借金になります。

同一の法人内ですが、返さなければなりません。

また、収支の面でいうと法人本部は収入がないので、本部経費の分赤字になってしまいます。

この赤字を補てんするために、黒字の施設から法人本部へお金を移動させることになります。

これを法人本部への繰入れと言います。

 

仕訳でお金の流れを表すと次のようになります。

 

施設拠点区分の会計処理

資金の移動  (借方)拠点区分間繰入金費用 ○○円  / (貸方)普通預金  〇〇円

立替金の返済 (借方)普通預金  ○○円  / (貸方)拠点区分間貸付金   〇〇円

 

本部拠点区分の会計処理

資金の入金  (借方)普通預金 ○○円  / (貸方)拠点区分間繰入金収益  〇〇円

借入金の返済 (借方)拠点区分間借入金  ○○円  / (貸方)普通預金   〇〇円

 

施設からお金を入れて、そのお金で施設に対する借金を返すという流れになります。

お金の流れを明確に示すためには、一旦資金を動かして通帳に残すというのも一つの方法ですが、やはり手間がかかってしまいます。

そこで、実務的には次のような仕訳でもオッケーです。

 

施設拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)拠点区分間繰入金費用  ○○円  / (貸方)拠点区分間貸付金 〇〇円

本部拠点区分の会計処理

仕訳  (借方)拠点区分間借入金 ○○円  / (貸方)拠点区分間繰入金収益  〇〇円

 

それぞれの貸付金と借入金を繰入金費用と繰入金収益で相殺して消してしまうということです。

これならお金の移動も必要ありませんし、仕訳も1つで済みますので簡単です。

簡単な会計処理の方がいいと思われる方は、こちらの仕訳をおすすめします。

 

ただし、社会福祉法人においては法人本部と施設間の資金の繰入れは無制限に行うことはできません。

社会福祉事業の施設等の収入は公的なお金であるため、原則としてその施設の支出等に使用することとされているためです。

一定の要件を満たす場合や一定の限度額の範囲内であれば、資金の繰入れや貸付が認めらていますので、資金使途制限には十分に注意して資金の繰入れを行うようにしましょう。

 

まとめ

社会福祉法人の本部経費の会計処理について記載いたしました。

法人本部の経費は、本部拠点区分で会計処理するのが原則です。

仕訳例を参考に本部経費の会計処理を行っていっただければ幸いです。

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