「経費が少ないからあかんわー」
「もっと経費使わないとー」
納税予測をすると、社長からこういったお悩みを聞くことがあります。
もちろん予測した税金が高かったことが理由ですが、本当に経費が少ないことは悪いことなのでしょうか?
そもそも経費とは何なのか?
経費とは事業を行うために使用する費用です。
もっと言うと売上を上げるために支出するお金のことです。
取引先との打ち合わせをカフェで行ったり、取引先を接待するために食事に行けば、それは「交際費」という経費になります。
また、商談のための出張で新幹線やホテルを利用すれば、「旅費交通費」という経費になります。
このように、売上を上げるためには経費を使う必要があります。
事業の内容や業種によって、いろいろな経費を使う必要があります。
飲食店であれば、食材、店舗の家賃、スタッフの人件費、集客のための広告費などが経費として必要になります。
私、税理士も事務所の家賃や会計ソフトの利用料、税理士会などの会費が経費として必要になります。
事業に必要な経費を使って、売上を上げて最大限の利益を残すことが会社の目的でもあります。
経費が少ないことは悪いことなのか?
経費を使わずに売上が上がれば、そんな楽な商売はありません。
利益率100%なので丸儲けです。
しかし、一般的には売上を上げるために経費を使う必要があります。
そして会社としては、より少ない経費で売上を上げて最大限の利益を残したいと考えるはずです。
そう利益を残すためには、経費が少ない方がいいのです。
1億円の売上を上げても1億円の経費を使っていたら利益は0円です。
事業を継続していくためには、利益を出していかなければいけません。
利益率を高めて、経費を少なくして、利益を出して儲けていくことが最大の目的のはずです。
だから、決して経費が少ないことは悪いことではありません。
むしろ、経費が少ないことはいいこと、儲かるいいビジネスを行っているということです。
経費が増えると税金は減るがお金も減る!
経費が少ないとダメだと思ってしまう理由は、税金が高いと感じるからです。
経費が少ない = 利益が多い = 税金が高い ということです。
利益が大きくなれば、税金として支払う金額も増えます。
税金を減らすためには、経費を使って利益を圧縮する必要があります。
ですが、せっかく儲かるいいビジネスをしているのに税金を減らすために経費を使って利益を圧縮することは本当に良いことなのでしょうか?
税金をできる限り少なくしたいという気持ちはとてもわかります。
無駄な税金はできる限り払いたくないものです。
しかし、経費を使うということは、お金も減っていきます。
節税対策として経費を使った場合と使わない場合で、手元に残るお金がどうなるか見てみましょう。
利益 | 節税対策経費 | 税金 | 税金支払い後のお金 |
1,000万円 | 0円 | 300万円 | 700万円 |
1,000万円 | 500万円 | 150万円 | 350万円 |
1,000万円 | 1,000万円 | 0円 | 0円 |
表でご覧いただくとわかるように、何も節税せずに税金を払う方が手元にお金は残ります。
節税することによって、税金は減りますがお金はもっと減っていきます。
もちろん、節税に取り組むことは大事だと思います。
しかし、税金を下げることだけに意識を囚われてしまうのは違うかなと思います。
せっかく儲かるいいビジネスをしてるのに、税金が高いという理由で無駄な経費を使うのは、それこそお金の無駄使いになってしまいます。
まとめ
経費が少ないということは、儲かるいいビジネスをしているということです。
節税も大事ですが、お金を残すことはもっと大事です。
経費を使うときは、税金よりも少しお金を残すことを意識してみてはどうでしょうか。