月次決算の結果を経営に役立て、黒字決算を実現するためには「変動損益計算書」で業績を把握することが重要となります。
「変動損益計算書」は、経営者の意思決定に役立つ情報を提供するという点で、通常の損益計算書よりも優れているといえます。
「変動損益計算書」と「損益計算書」は何が違うのか?
変動損益計算書が損益計算書より優れている部分はどこなのか?
ざっくり解説いたします。
変動損益計算書は通常の損益計算書と何が違う?
変動損益計算書とは、すべての経費を売上にともなって増減するか、しないかによって分類し、売上の増減によって同じように増減する経費を「変動費」、売上の増減に影響を受けない経費を「固定費」として表示した損益計算書のことをいいます。
さて「変動費」には、どのような経費が含まれるのでしょうか?
商品の仕入高や材料費などが該当します。
売上が上がれば商品の仕入れも増えますからね。
また「固定費」にはどのような経費が含まれるでしょうか?
人件費や地代家賃などが該当します。
売上がなくて給料や家賃の支払いは発生しますので。
損益計算書は法律で作成が義務付けられていますが、変動損益計算書は社内の業績管理に有効な様式として活用されているもです。
だから、変動損益計算書は自社で好きなように作成できます。ルールはありません。
自社の業務の内容から、業績管理に役立つように「変動費」と「固定費」をしっかり把握して作成する必要があります。
変動損益計算書の特徴は?
売上高から変動費を引いたものを「限界利益」といいます。
もう少し簡単に言うと粗利みたいなものなんですが、通常の損益計算書では製造業など業種によっては固定費を含んでいる場合があるので、変動損益計算書では「限界利益」と呼んでいます。
変動費は、売上高の増減に伴って変わるため、売値や仕入れ値が変わらない限り、限界利益率は一定となります。
つまり限界利益は売上高に比例するということです。
例えば、売上高が20%増えれば、変動費、限界利益も20%増加します。
つまり売上高の増減によって限界利益がどれだけ増減するか、すぐにわかるということです。
「商品単価×限界利益率」等の計算で、商品1個当たりの限界利益がすぐに把握することができます。
限界利益を把握することで、商品をいくつ販売すれば、その商品によって限界利益をいくら稼げるかといった数量ベースでの試算が簡単にできます。
「商品1個販売すればいくら儲かる」とか「この値段にすればいくら儲かる」とかいろいろな分析を行って経営に役立てることができます。
これが変動損益計算書の活用方法です。
変動損益計算書を活用して損益分岐点を知りましょう!
損益分岐点とは、収支がトントンになる点(限界利益=固定費)のことで、この時の売上高を「損益分岐点売上高」といいます。
「損益分岐点売上高」は赤字と黒字の分岐点となる売上高のボーダーラインで、損益分岐点売上高を越えれば限界利益がすべて利益として積み重なっていきます。
固定費は基本的には一定なので、固定費を超える部分の限界利益はすべて利益として残るということです。
変動損益計算書を使うと、この「損益分岐点売上高」が簡単にわかります。
例えば固定費が600万円で限界利益率が60%の場合には
600万円 ÷ 60% =1,000万円 → 損益分岐点売上高
つまり固定費を限界利益率で割れば、損益分岐点売上高が算出されます。
変動損益計算書は経営者の成績表
変動損益計算書は経営者の成績表と言われるように、会社の経営状態を表しています。
つまり、経営者の意思決定の結果が表れているということです。
また、変動損益計算書を見ることによって、会社に何が起きているのかを読み取ることが容易になります。
三松会計事務所でも変動損益計算書の活用をサポートしています。
変動損益計算書を活用して、経営者の意思決定の結果を確認して、さらなる業績発展の意思決定に役立てていきましょう!