新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、売上が減少し、資金繰りが悪化した中小企業は、政府の資金繰り支援策の活用によって、ピンチをなんとかしのいだ会社も多いと思います。
持続化給付金、家賃支援給付金、そして実質無利子融資を活用し、売上減少の補てんにされたと思います。
持続化給付金などは問題ありませんが、緊急融資はあくまでも融資です。
資金不足というピンチをしのいだ一方で、借入金が増加していることが懸念されます。
今後、返済時期、返済原資などについて整理しておく必要があると考えられます。
返済のこともしっかり考えておきましょう!
新型コロナウィルス感染症の影響による経済活動の冷え込みに対して、日本政策金融公庫などの新型コロナ対応特別融資、セーフティネット保証の拡充、民間金融機関での実質無利子融資など、手厚い資金繰り支援策を利用して、手元資金を厚くしている中小企業も少なくありません。
今は、現預金も充分にあり、資金繰りも楽だと思われている社長さんもいらっしゃるかもしれません。
このような、先行きが不透明な現状においては、手元資金を十分に確保することはとても重要なことです。
資金が手元にあれば、何とか事業を継続できますし、改善のための対策を打つことができるからです。
しかし、注意していただきたいのは、借入金はいずれ返済しなければいけないということです。
今は、返済の猶予を受けていても、数年後には返済が始まります。
その時にしっかりと返済できるように、まずは借入状況や返済時期、返済原資などについて整理して、把握するようにしましょう。
借入れごとの情報を整理する!
借入れごとに借入金額、借入期間、返済条件などの情報を、「借入金台帳」や「借入金一覧表」などを作成して整理していきましょう。
借入金一覧表を作成することで、返済年月ごとの元金・利息の支払いに必要な金額が明確になります。
借入金の返済予定表を見ればわかる内容にはなりますが、一覧表にまとめることで、「どこの金融機関に毎月いくら返済する」、「どこの金融機関にいくらの借入金が残っている」といったことがすぐにわかりますので、資金繰りを考えるときに非常に便利なものになります。
借入一覧表は、あくまでも整理するためのものですので、書式や形式が決まっているものではありません。
次のような項目を借入金ごとに整理しておけば大丈夫です。
・金融機関名 ・借入期間 ・借入利率 ・返済期限 ・据置期間 ・毎月の返済額
・保証人、連帯保証人 ・担保 ・協会保証の有無 など
また、経理処理においても、借入金を長期借入金で処理するのではなく、長期借入金のうち1年以内に返済しなければならない部分を「1年以内返済長期借入金」として経理処理しておけば、決算書や試算表において、1年以内に返済すべき金額を「見える化」することができます。
返済シミュレーションを行いましょう!
新型コロナ関連融資の特徴は、据置期間があることです。
最長5年間は元本の返済がいらないことになります。
今は、元本の返済がいらない分、資金繰りに余裕があっても、いざ元本の返済が始まるとたちまち資金繰りが厳しくなるようでは事業は継続できません。
資金繰りに余裕がある今だからこそ、据置期間後の元本返済に備えておかなければなりません。
そのためにも、借入情報に基づいて、将来の返済シミュレーションを行いましょう。
元本返済が始まったら、売上や利益がどの程度必要なのか。
固定費の削減は必要ないのか。
今の利益で返していけるのかなど、今のうちから明確にして、返済が可能かどうかを確認することはとても重要です。
また、借り入れた資金の使いみちは慎重に判断する必要があります。
一時的に資金が増えて、現預金に余裕があると、ついつい無駄遣いをしてしまいがちです。
あくまでも事業を継続するための資金としての再確認が必要です。
余った資金は、据置期間終了後にそのまま返済するぐらいの気持ちでいる方がいいのではないでしょうか。
数年後に始まる元本返済に備えて、しっかり計画をしておくことが重要です。
まとめ
新型コロナウィルスの影響も少しは落ち着いてきたとはいえ、まだまだ100%まで回復したとはいえません。
資金に余裕がある間に、しっかりと体制を整えて、利益を出せる財務体質にしておく必要があります。
数年後に始まる元本返済に備えて、しっかりと事業計画や返済シミュレーションを立てていきましょう。