事業を開業するためには、開業前からさまざまな経費が必要になります。
業務で使うパソコンを購入したり、名刺を作成したり、会社案内や営業用のパンフレットを作成したりです。
このように、会社を設立する前や開業前にかかった経費は、経費として処理して大丈夫なのかと思われる方もおられるかもしれません。
開業前の支出した経費についは、「開業費」として経費で処理することができます。
開業準備の経費は「開業費」で処理
開業準備のためにかかった経費は、「開業費」で処理することができます。
当然ですが、事業に関係することが前提となります。
事業に関係していれば、開業前にかかった次のような経費が「開業費」に該当します。
・名刺作成費
・会社案内作成費
・パソコン購入費(10万円未満)
・開業までの事務所家賃
・開業までの電気代、水道代
・旅費交通費
などなど
開業前なので売上は立っていませんが、開業準備ための費用という事で、経費になりますので、しっかり領収書等を残して、開業のための経費だということを証明できるようにしておきましょう。
開業費とならないもの
開業準備にかかった経費でも、開業費にならないものがあります。
販売商品の仕入代金
販売用商品の仕入代金は、たとえその購入が開業前であったとしても「仕入」で処理することになります。
売上が計上されて、費用処理することになりますので、開業費に含めることはできません。
10万円以上の固定資産の購入
購入価額が10万円を超える固定資産についても開業で処理することはできません。
固定資産は減価償却を通じて経費に計上することになります。
ただし、固定資産であっても10万円未満であれば開業費として処理することができます。
敷金
事務所や店舗を借りるために支出した金額で、退去時に返還されるものは、開業費で処理することはできません。
将来的に返還されるものは、単にお金を預けているだけに過ぎず、経費で処理することができないからです。
「敷金」や「保証金」の勘定科目で資産に計上することになります。
礼金
こちらは事務所や店舗を借りるために支出した金額で、退去時に返還されないものです。
礼金も開業費で処理することはできませんが、繰延資産として数年間に按分して経費に計上することができます。
何年前までの経費が開業費になるのか?
開業費で気になるのが、何年前までの支出が開業費で認められるのかという点です。
厳密なルールは決まっていないので、開業のために支出したという事であれば、数年前の経費でも開業費に計上することができます。
しかし、あまりにも昔に支出した経費を開業費で処理していると、「本当に開業のための経費か?」と税務調査で疑問を持たれる可能性があります。
そのため、実務上では1年前くらいまでのものを、開業費として処理することが多いです。
開業費として認めてもらうためにも、しっかりとした資料を残しておきましょう。
開業費は資産になる
開業費は、資産の科目として計上することになります。
資産と聞くと「えっ、結局経費にならないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
開業費は、いつでも、いくらでも、経費にすることができます。
開業初年度に開業費として処理した全額を経費に計上しても問題ありません。
また、開業年度はあまり利益が出なかったから、少しだけ経費で計上して、残りを2年目に経費計上することも可能です。
このように開業費は使い勝手がよく、利益調整ができてしまう、めちゃくちゃ便利な科目なのです。
ですので、利益を見ながら「今年は50万円経費にしよ」、「今年は20万円経費にしよ」なんてことができちゃいます。
このように利益調整ができますので、開業前にかかった経費もしっかり領収書を残しておくようにしましょう。
まとめ
開業準備のための費用は「開業費」で処理することができます。
開業費は自由に経費計上ができる便利な科目です。
新型コロナウィルスの影響で経済情勢が不安定ですが、自分の夢や目標として開業準備をされている方もおられると思います。
こういったピンチの時こそ新たな発想で、チャンスをつかむこともできます。
開業される際は、開業準備にかかった領収書もしっかり残しておくようにしましょう。