新型コロナウィルス感染症が経営に与える影響は大きいです。
特に飲食店では、時短要請や休業要請により売上高が激減しています。
その対策として行われたのが、休業協力金や時短協力金の支給です。
時短要請や休業要請に協力してくれている飲食店に対して売上補填として支給されるものですが、これは税金の対象になるので注意が必要です。
時短協力金は税金の対象?
時短協力金については、所得税等の課税対象となり税金がかかってきます。
もちろん売上の補填として支給されているので、時短協力金より経費の方が上回れば税金が課税されることはありません。
つまり、時短協力金で100万円もらっていても家賃や給料などの支払いが100万円あれば、
100万円ー100万円で利益は0円となるため、税金を課税されることはありません。
しかし、個人事業主さんの多くは時短協力金で儲かってしまってるのではないでしょうか!
小規模な店舗であれば、家賃の支払いはそれほど大きくないので、時短協力金の一部だけで固定費が賄えてしまうという現実があります。
ですので、時短協力金がほぼほぼ利益として残っていて、このままにしておくと来年の確定申告で税金が一気に高くなる可能性があります。
もちろん、国や都道府県の要請により休業や時短営業に取り組んでいるわけですから、時短協力金をもらうこと自体は悪い事ではありません。
しかし、利益として残ってしまうと課税されて税金を払わなければいけないということを頭に入れておくことが必要です。
決算予測で早めの節税対策を!
時短協力金で儲かっているなと思われる個人事業主さんは早めに節税対策に取りかかる必要があります。
例年通り、確定申告の時にまとめて計算しちゃおうと思っていると手遅れでどえらい税金を支払わなければならないかもしれないからです。
ということで、個人事業主さんの節税対策をいくつか挙げておきますのでご参考まで。
小規模企業共済の加入
小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主さんのための積み立てによる退職金制度です。
掛金は全額所得控除できるため高い節税効果があります。
今から加入される方は、前納すれば最大で84万円の控除が受けられます。
また既に加入されている方については、掛金の増額や年払い(前納)へ変更することで、今年の所得控除を大きくすることができます。
必要なモノを前倒しで購入
来年にそろそろ買い替えようかなと思っているものがあれば、今年中に買うことで節税対策につながります。
青色申告の方であれば30万円未満のものであれば、購入時に経費で落とせますので検討してみましょう。
またお店や厨房器具の修繕なども年内にすることを検討してみましょう。
家賃の年払いの検討
家賃を年払いすることで、来年1年分の家賃を経費に計上することできます。
注意が必要なのは、契約書の変更が必要なことです。
ただ、1年分を支払ったらいいというわけではありません。
その他にも注意点があるので、顧問税理士等に確認してから実行するようにしましょう。
過去の国民年金の支払い
過去に国民年金の未納分がある場合は、まとめて支払ってしまいましょう。
国民年金についても所得控除になりますので、節税につながります。
ふるさと納税をする
節税とは少し違いますが、儲かっているなら「ふるさと納税」もやっておきましょう。
税金はただ払うだけですが、ふるさと納税をすればお肉やお酒などの返礼品がもらえます。
ただ税金を支払うだけよりはメリットがあるかと思います。
お金を残して税金を払う
節税に取り組むよりも税金を払う方がお金が残るという原理原則があります。
ムダなものに使うなら、今のお金をしっかり残しておいて納税資金に充てるのも一つの考え方です。
儲かった以上に税金がかかることはありません。
そのまま税金を支払えば、手許にお金は残るはずです。(借入金などがある場合を除きます。)
節税に取り組むためには月次決算が大事!
節税に取り組ためには、やはり今いくら儲かっているのかがわかっていなければいけません。
儲かっていないのに、節税に取り組んでもお金がだけが無駄に出ていってしまいます。
そこで、重要になってくるのが数字を見るということです。
そのためには試算表を作成しましょう。
試算表を作成することで毎月の利益であったり、現時点での累計の利益を把握することができます。
例えば10月までの利益がわかれば残り2ヶ月間の業績を予測することで、今年はこれぐらいの利益になるなということがわかります。
「じゃあ、これだけのお金を使って節税に取り組んでも大丈夫だな」とか「そんなに儲かってなかったから節税に取り組まなくても大丈夫だな」といった経営判断ができるようになります。
毎月の試算表を作成することを月次決算と言います。
ぜひ月次決算に取り組んでいただいて、節税だけでなく経営に会計数字を活用していただきたいです。
まとめ
時短協力金で儲かっている飲食店は、思わぬ税金に注意が必要です。
税金を払いたくないと思っているのであれば、試算表を作成してできる限りの節税に取り組んでいきましょう。