決算期においては、在庫の棚卸をしなければなりません。
在庫の金額を確定させることで、売上原価も確定し、粗利(売上総利益)がわかるようになるからです。
正しい利益を確定させるためには、在庫の管理を正確に行う必要があります。
また、適正在庫は事業の運転資金の安定化につながりますので、しっかりとした管理が必要になります。
しかし、難しいのが在庫の管理です。
在庫が足りなければ、販売機会の損失につながりますし、多ければ過剰在庫となって資金繰りを圧迫するほか、保管コストなども発生する場合があります。
さて、この過剰在庫ですが、どうしても売れないという場合は、処分してしまうことも一つの方法です。
在庫処分で節税する!
過剰在庫を処分することで、節税につながります。
売れない在庫は、持っていても仕方がありません。
先ほども書きましたが、保管コストがかかるなど収益を生まないだけでなく、経費もかかってくるということです。
もう、どうしても売れない在庫があるというときは、決算前に思い切って処分してしまいましょう。
処分した在庫の金額が、そのまま経費で落とせるということです。
しかも、お金が出ていかない節税になります。
さらに、保管コストが下がりますので、企業にとってメリットは大きいと思います。
在庫処分で節税するなら、決算前に処分してしまわなければなりません。
棚卸をするのは決算期末になるので、それが終わってから処分となると翌期になってしまう可能性があります。
在庫処分で節税するためには、早めの取り組みが必要になります。
在庫処分した時の仕訳
在庫処分時の仕訳は次のようになります。
売上 | 2,000 |
期首棚卸 | 500 |
仕入 | 300 |
期末棚卸 | 200 |
売上総利益 | 1,400 |
商品廃棄損 | 200 |
利益 | 1,200 |
売上 | 2,000 |
期首棚卸 | 700 |
仕入 | 300 |
期末棚卸 | 200 |
売上総利益 | 1,200 |
在庫処分は証拠資料が重要です!
税務調査で疑われないようにするためにも、在庫処分をする時は証拠資料が重要になります。
在庫の処分があったかどうかは会社しかわからない事実です。
実際は処分していないのに在庫金額に手を加えるだけで節税ができてしまいます。
税務署にも疑うだけの要素があるということです。
在庫を処分する場合、第三者に説明できるだけの資料を残す必要があります。
どのような理由で、いつ、どれだけの量を処分したのかを客観的に説明できることがポイントです。
会社の稟議書や処分したときの写真が有効的な証拠資料になります。
これらがあると「会社で検討して、処分しましたよ」、「廃棄したのがこれです」と説明できるわけです。
また、廃棄処理を業者に依頼する場合は、処理業者の処分明細なども残すようにしましょう。
大きな金額の在庫処分があると、高い確率で税務調査で細かく調べられる可能性があります。
証拠資料をしっかり作成して節税に取り組むようにしましょう。
在庫は売ってこそ価値がある!
在庫処分で節税しましょうというお話ですが、これに取り組むのはどうしても売れないといった場合です。
在庫は売ってこそ価値があるのです!
在庫は売れてはじめてお金に変わるものです。
100万円の在庫があれば、それは100万円のお金が眠っているのと同じことです。
定価で売れなければ、値引き販売、最悪バーゲンセールで原価割れでも、売れればお金に変わります。
在庫処分は節税になるかもしれませんが、一切お金を生み出しません。
まず取り組むのは、在庫をどうやってお金に変えるかということです。
在庫処分は本当に最終手段です。
少しでもお金に変われば、資金繰りが助かるかもしれません。
過剰在庫だからといって安易に在庫処分に走るのではなく、どうしたらお金に変わるのかということをまず考えてみましょう!
まとめ
過剰在庫がある場合、決算前に在庫処分することで節税につながります。
ただし、在庫処分はあくまでも最後の手段です。
まずは、少しでもお金に変わる方法を考えてみましょう!