私は、お客様とのコミュニケーションを大切にしております。
税理士業務と言えば、書類を渡して申告書を作成してもらってはい終わりといった考え方もあるかもしれません。
しかし、これではお客様とのコミュニケーションがほとんどありません。
もちろん申告書の代行作成さえ完了すれば満足されるお客様もおられます。
それでも、お客様とのコミュニケーションを深めて、業績改善にお役に立ちたいと思っています。
変動損益計算書は経営者との会話のツール
お客様とのコミュニケーションはやはり経営数字の活用です。
毎月の訪問時には、売上であったり、利益であったりといった今月の業績を報告します。
業績の報告をしながら、「今月がこんなことがあった」、「あんなことがあってこの数字が悪くなっている」といった社長のお話を聞きながら、業績を振り返っていきます。
そんな会話の中から、社長が気づけていなかった数字の変化に気づいたり、業績改善や業績悪化の原因を追究したりと、社長の頭の中を整理する時間になっていただければと思っています。
経営数字を報告する時に活用するのが「変動損益計算書」です。
社長に変動損益計算書の考え方を知ってもらうことで、会社の損益構造を理解してもらうことができます。
変動損益計算書を活用すれば、次のようなことがわかるようになります。
・商品単価を10%値上げしたら、利益はどう変わるのか?
・商品の販売数を110%に増やしたら、利益はどう変わるのか?
・仕入単価を10%削減したら、利益はどう変わるのか?
・固定費を10%削減したら、利益はどう変わるのか?
変動損益計算書の考え方を理解できれば、上の4つの方法のうち、どれを採用するこどが最も効果的なのか、ということを考えることができます。
変動損益計算書を活用することで、社長と会社の未来について話せるということです。
「会社の目標利益を達成するためには、どの方法を採用すべきか?」という問いに対して、社長が「単価の値上げは厳しいから、販売数を上げるわ」とか、「販売数は110%は厳しいから、仕入単価を削減するわ」といった会話ができるのではないでしょうか。
また、変動損益計算書は利益の変化が見えることから、「商品単価を10%ではなく5%上げた場合の利益の変化はこの金額なので、固定費を5%削減することができれば、目標利益に到達できますね」といった会社の戦略を社長と一緒に考えることができます。
会計は過去の数字というイメージが強いかもしれませんが、変動損益計算書を活用することで未来の数字について語ることができます。
このように変動損益計算書を活用することで、お客様のとのコミュニケーションをより深めたいと思っています。
目標利益を達成するために一緒に考える
変動損益計算書は経営者と会話するためのツールであり、会社の目標を達成するために一緒に考えるためのツールであります。
例えば、次のような業績の会社があったとします。
売上 1,000
変動費 700
限界利益 300(30%)
固定費 200(役員報酬のみ)
利益 100
この会社が金融機関から融資を受けていて元本返済が150であれば、必要利益は150になります。
現状の利益では返済ができないので、何か対策を考えなければなりません。
一番手っ取り早い方法は、役員報酬を50減らすことです。
しかし、社長の役員報酬の減額を提案すると、「できれば下げたくない」といった返答がきます。
それではと、次の手を考えます。
役員報酬と限界利益率がそのままであれば、売上は1,166必要になります。
売上を上げることが難しいのであれば、利益率の改善です。
限界利益率が35%に改善されれば、目標利益を達成することができますよといったアドバイスができます。
変動損益計算書の数字を活用して、経営者と一緒になって目標利益について考えていくことができます。
「この対策ならできる」、「これはちょっと難しい」といったように社長といろいろな話をしながら業績改善を行っていくのです。
まとめ
変動損益計算書を活用して経営者との会話のツールにしています。
会計数字を通じて、経営者に経営改善のヒントを気づいてもらうのも税理士のサービスの一つです。
申告代行だけに留まらない、付加価値の高いサービスを提供していきたいです。