人件費の適正額の考え方!

企業にとって人件費のコントロールは重要です。

人手不足の昨今においては、待遇がよくないといい人材は集まりませんし、かといって給料が高すぎると会社の利益を圧迫してしまいます。

今回は人件費の適正額の考え方について、ざっくり解説いたします。

 

人件費の適正額の考え方

人件費の適正額を考える場合、「労働分配率」を確認します。

労働分配率とは、会社が稼ぎ出した限界利益(粗利)を何%人件費に充てているかという数値です。

人件費÷限界利益 で簡単に計算できます。

そして、同業他社のデータであったり、黒字企業の平均値と比較することで、自社の人件費が適正なのかどうなのかといったことを判断することができます。

同業他社のデータは、インターネットで検索すれば出てくる場合もありますし、当事務所ではTKC経営指標を活用して、お客様の数値の分析をしたりしているので、顧問税理士さんに聞いてみるのも一つの方法です。

 

従業員さん思いの経営者なら、「給料はいっぱい払ってあげたいげど、会社に利益が残らないのはまずいなー」といったお悩みを抱えられているのではないでしょうか。

私も経営者から、「うちの会社の人件費は高いの安いの?」といったことを質問されることがあります。

 

自分の会社が適正な人件費を支払っているかどうかというのは、経営者にとって大きな関心ごとです。

 

他の会社より給料が低ければ、従業員さんのモチベーションは下がって業績が悪くなってしまうかもしれませんし、最悪の場合は退職してしまって会社が回らなくなるといったことも考えられます。

逆に他の会社より給料が高ければ、従業員さんの満足度は高まりますが、そのことが原因で会社の利益を圧迫してしまって、会社の資金が回らなくなってもたいへんです。

 

従業員さんの満足度と会社の利益との板挟みに経営者が陥り、悩んでしまうといったところでしょうか。

そこで、自社の労働分配率を計算して他社と比較してみるのです。

数値を比較することで、自社の現状を把握することができます。

人件費が高いのか、安いのか、利益が残らないのは何が原因なのかといったことが見えきます。

 

労働分配率を活用した分析の方法

人件費の適正額を確認する場合、次のような分析値を使用します。

当社 黒字平均企業
労働分配率 70% 60%
一人当たり人件費(月) 280千円 300千円
一人当たり売上高(月) 600千円 800千円
一人当たり限界利益(月) 420千円 600千円

 

上記の分析値を基に、人件費が適正かどうかを確認していきます。

まずは、労働分配率です。

当社は、70%であるのに対して、黒字平均企業は60%ですので、人件費がかかりすぎていることがわかります。

 

「うちの会社は高いんかー」で終わってはいけません。

労働分配率は低い方が良いので、どうすれば労働分配率を下げることができるのかを考えなければなりません。

 

一番手っ取り早い方法が、従業員さんの給料を下げることです。

しかし、従業員さんのモチベーションにかかわることから、給料の削減は最終手段であって、安易に取り組むものではありません。

しかも、一人当たりの人件費の数値を確認してみてください。

当社は280千円に対して、黒字平均企業は300千円と、黒字平均企業より少ないことがわかります。

この数字から、従業員一人ずつの給料はそれほど高くないということがわかります。

これで、さらに給料削減となると、従業員さんの不満が爆発して退職なんてこともあり得ます。

 

「やっぱりうちの会社は給料高くないんかー」ということで、どうして会社に利益が残らないのか、違う原因がないのかを分析してみます。

労働分配率以外の分析値の数字に着目してみると、一人当たりの売上高が、当社600千円に対して黒字平均企業は800千円、一人当たりの限界利益も当社420千円、黒字平均企業600千円と黒字平均企業よりも低いことがわかります。

これは従業員一人が稼ぐ金額が低い、つまり労働生産性が低いという事です。

 

一人当たりの人件費はそれほど高くないが、一人当たりの売上高や限界利益といった労働生産性が低いために労働分配率が高いことが判明します。

この原因から取り組むことは、もちろん人件費の削減ではありません。

限界利益を高めることです。

売上を増やしたり、原価を下げる対策をとって、限界利益を高めることで適正な労働分配率に近づきます。

黒字平均企業と同じ労働分配率にすることを目指して経営改善を行っていきましょうといったお話ができるわけです。

 

まとめ

「一人当たりの人件費は高く、労働分配率は低く」が理想です。

従業員さんの満足度も高く、利益もしっかり残っている会社ということです。

同じ給料を支払っている会社でも、限界利益をたくさん稼ぎ出している会社ほど、労働分配率は低くなります。

逆に、限界利益が少ない会社ほど、労働分配率は高くなります。

労働分配率を意識して、適正な人件費にコントロールしていきましょう。

 

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