「金融機関からの借入金の返済は経費にならないんですか?」
よく経営者の方から質問があります。
そうなんです、金融機関からの借入金の返済は経費になりません。
借りてきたものをただ返しているだけなので経費になりません。
もっと言えば、借りたときは借入金に対して税金はかかっていないはずです。
借りたときに税金が課税されていれば、返したときに経費として認められるかとは思いますが、当然そんなことはありません。
融資の時に税金が課税されていれば、それはそれでたいへんなはずです。
ただのお金の貸し借りであり、利益があるわけではないので、課税されないですし、返済の時も経費にならないということです。
このように説明すれば少しはご理解いただけるでしょうか。
借入金の返済があるために、利益が出ていても会社にお金が残っていないといった現象が生じてしまいます。
利益と資金の差異が生じてしまい、社長が「会社にお金がぜんぜん残っていないから儲かっていないはずだ」と勘違いしてしまう原因があるのではないでしょうか。
借入金の返済原資は?
金融機関からの借入金の返済原資は何だと思われているでしょうか?
ズバリ、それは利益です。
借入金を返すためには、黒字化を実現して利益を上げなければなりません。
儲けたお金を借入金の返済に充てるということです。
また利益には税金がかかるので、税金を支払った後の利益で借入金の返済をまかなう必要があります。
「返済資金+税金分」の利益を出さないと、お金がどんどん減っていくことになってしまいます。
だから、黒字化していく必要があるのです。
今ある借入金を何年で返済できるか?
今、会社にある借入金を何年で返済できるか考えたことがありますか?
契約上の5年とか7年とかではなく、年間の会社の利益から何年間で返済できるのか一度考えてみましょう。
例えば、借入金の総額が1億円あったとします。
この1億円の借入金を何年で返済することができるのでしょうか。
利益が1,000万円出ていたとします。
1,000万円に対して30%の法人税が課税されて300万円の税金を支払います。
そうなると返済原資となるお金は1,000万円 - 300万円 =700万円となります。
さらに減価償却費が300万円あったとします。
減価償却費とは建物や機械などの固定資産の購入にかかった費用を期間按分して毎年経費に計上しているもので、初年度は資金の支出を伴いますが、翌年以降は資金の支出をともなわない費用として計上できます。
減価償却費は経費となっていますが、資金が出ていないので返済原資に加算されるので返済原資は1,000万円となります。
借入総額 1億円 ÷ 返済原資 1,000万円 =返済期間 10年
と毎年1,000万円の利益を出せば、10年間で返済することができます。
このように、今の利益ならあと何年で返済できるのかということを計算することができます。
まとめ
上記の例で出したように返済期間が10年ぐらいであれば、そんなに心配することはないと思います。
金融機関の返済期間がもう少し短い場合もあるとは思いますが、そこまで心配せずに年間返済額に近い利益の達成を目標にすれば経営は大丈夫でしょう。
しかし、返済期間が50年とか極めて長い期間が算出された場合は要注意です。
借入金残高が多額になっている可能性があります。
業務体質を見つめなおし、収益力を高めるとともに、金融機関との交渉により返済期間の延長などリスケジュールに取り組む必要もあるかと思います。
まずは自社の返済必要年数を把握するとともに、返済原資である必要利益の確保を目指しましょう!