新型コロナウィルスの発生から1年が経過しましたが、いまだに収束の兆し見えないままです。
コロナウィルスによって、ほとんどの業種が何らかの影響を受けられていると思います。
でも、いつまでもコロナ禍だからといって何も取り組まないというわけにはいけません。
ポストコロナ、ウィズコロナの経済社会の変化に企業自身も対応していかなければなりません。
そんな変化に活用できそうなのが「事業再構築補助金」です。
今回は、この「事業再構築補助金」についてざっくり解説いたします。
制度の概要
新型コロナウィルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待しがたい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応することが中小企業にも求められています。
そのために、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取り組みを通じた規模拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する制度です。
補助金を受けるには一定の要件を満たすことが必要になります。
要件について
(1)申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の連続する3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
コロナ前と比較して、売上が減少している必要があります。
(2)自社の強みや経営資源を活用しつつ、経済産業省が示す「事業再構築方針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと。
認定支援機関(税理士等の専門家)と連携して、事業計画を作成する必要があります。
(3)補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加を達成すること。
上記を満たす事業計画書を作成する必要があります。
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費の合計額をいいます。
補助金額・補助率について
補助金額 | 補助率 | |
中小企業(通常枠) | 100万円以上6,000万円以下 | 2/3 |
中小企業(卒業枠)(400社限定) | 6,000万円超1億円以下 | 2/3 |
中堅企業(通常枠) | 100万円以上8,000万円以下 | 1/2(4,000万円超は1/3) |
中堅企業(グローバルV字回復枠)(100社限定) | 8,000万円超1億円以下 | 1/2 |
※卒業枠:事業計画期間内に①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠です。
※グローバルV字回復枠:以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠
①直近6ヶ月間のうち3ヶ月間の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月間の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
②補助事業終了後3~5年で、付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること。
③グローバル展開を果たす事業であること。
ほとんどの中小企業は、通常枠に該当することが考えられます。
それでも補助金額は100万円以上6,000万円以下で2/3の補助率となっており、かなり大きな額を補助金として受けることができます。
新規事業や業態変換を考えらている場合は利用する価値ありです!
通常枠の加点と緊急事態宣言特別枠
緊急事態宣言により深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業者等については、「通常枠」の審査で加点措置があります。
さらに、これらの事業者向けに補助率を引き上げた「緊急事態宣言特別枠」が設けられます。
「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、通常枠で再審査されます。
対象となる事業者は、通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していることが必要となります。
要件に合致すれば地域や業種は問われません。
緊急事態宣言特別枠の補助金額・補助率
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
6人~20人 | 100万円~1,000万円 | 同上 |
21人以上 | 100万円~1,500万円 | 同上 |
補助対象となる費用について
事業再構築補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。
補助対象経費の例として次の費用が挙げられています。
【主要経費】
建物撤去費、設備等撤去費、建物改修・リフォーム費、建物費、機器・設備費、システム購入費
【関連経費】※関連経費には上限が設けられる予定
リース費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費)、専門家経費、技術導入費、知的財産権等関連経費、運搬費、クラウドサービス利用費、広告宣伝費、販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
【補助対象外の経費】
補助対象事業の従業員の人件費、従業員の旅費
不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、家具等)の購入費
販売する商品の原材料費、消耗品費、水道光熱費、通信費
具体的な事業再構築について
以下のような取り組みが具体的な事業再構築として想定されています。
・喫茶店経営で飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施
・居酒屋経営でオンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
・ヨガ教室が室内での密を回避するため、新たにオンライン形式でのヨガの教室の運営を開始。
・ガソリン販売事業者が新たにフィットネスジムの運営を開始。
などなど、さまざまな新規事業や業態変換に活用できると考えられます。
また、フランチャイズへの加盟もオッケーとなっています。(ただし加盟金は補助対象経費に含まれません)
なかなか新規事業が思いつかないという方は、ノウハウもしっかりしているフランチャイズへの加盟を考えてみるもの一つの案だと思います。
GビズIDプライムの取得をしましょう!
「事業再構築補助金を活用したい」、「新規事業が思いつけば活用してみたい」と少しでも事業再構築補助金に興味がある方についてはGビズIDプライムの取得をお勧めします。
事業再構築補助金の申請にはGビズIDプライムが必要となり、その発行に2~3週間かかります。
事業再構築補助金の公募は3月下旬から開始され、複数回に分けて実施される予定ですが、余裕をもって申請するためにも早めに取得しておくことが望まれます。
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まとめ
事業再構築補助金の概要について説明させていただきました。
コロナの影響による業績悪化を改善するために、新事業を考えられている方にはピッタリの補助金です。
また、「補助金が出るのなら新しい事業に取り組んでみよう」という事業者に勇気を与える補助金でもあります。
もし、少しでも興味があると思われた方は顧問税理士やお近くの認定支援機関に相談し、事業計画を作成していきましょう。
※執筆時点で情報に基づいて掲載しております。申請をお考えの場合は認定支援機関に相談をお願いいたします。