飲食店にとってお店で働くスタッフはとても大切な存在だといえます。
店主一人でやっている小さなお店でない限り、スタッフの力を借りないとお店が回らなくなってしまうからです。
ですので、従業員にはしっかりと給料を払いたいところですが人件費が高すぎると今度はお店が苦しくなってしまいます。
飲食店で利益を残すためには人件費のコントロールが一つ大きなポイントです。
そこで飲食店の適正な人件費を考えてみましょう。
労働分配率を活用する!
お店が稼ぎ出した利益を適正に人件費に配分できているかを確認する数値として「労働分配率」があります。
労働分配率とは人件費が限界利益(お店の儲け)に占める割合を表したもので 人件費 ÷ 限界利益 で計算することができます。
人件費には、従業員さんの給料、賞与、会社であれば役員報酬や法定福利費(社会保険料等)が含まれます。
また限界利益とは売上から変動費を引いたものですが、難しい場合は売上から仕入(原価)を引いた売上総利益(粗利)使って計算してみましょう。
さて、労働分配率はいくらになったでしょうか?
飲食店の形態によっても変動がありますが、飲食サービス業の目安は55%前後くらいです。
また従業員さんの人件費に絞った場合の労働分配率は40%くらいが目安となります。
労働分配率が高い場合は、人件費がお店の負担になってお店が儲からない体質になっているかもしれません。
適正に人件費(労働分配率)の管理に向けて改善していく必要があります。
人件費は高く、労働分配率は低くを目指す!
労働分配率が高いとなると、まず社長が考えることは「人件費を減らさないと」です。
もちろん人件費を減らせば労働分配率は下がります。
しかし給料が下がった従業員さんのモチベーションも下がってしまわないでしょうか。
最初にも書きましたが飲食店にとって人材は人財といっていいほど大切な存在です。
昨今の人手不足も重なって、優秀なスタッフの確保は非常に難しくなっています。
社長として目指すべきところは「人件費は高く、労働分配率をは低く」です!
そこで労働分配率を改善するための方法として考えられるのが次の3つです。
1.限界利益率の向上の施策を考える!
利益配分の原資となる限界利益を高めることができれば同じ給料の金額であっても労働分配率は下がります。
例えば限界利益が200万円で給料が100万円であれば労働分配率は50%ですが、限界利益を250万円にアップすれば労働分配率は40%に下がるということです。
そのためには、お店にサービスやメニューを改善して付加価値をつけて値段を上げたり、利益率の高い商品を販売するなどの方法が考えられます。
どんどん限界利益が上がっていけば同じ労働分配率であっても高い給料を支出することができるので従業員さんのモチベーションも上がるはずです。
2.生産性をアップする!
業務の効率化やオペレーションの改善などで生産性を上げることを考えてみましょう。
生産性が上がって労働時間が短くなれば、人件費も下がります。
人件費が下がるといっても業務効率化によって労働環境が良くなれば従業員さんの満足度も上がるかもしれません。
また生産性が上がったことによって、その浮いた時間を売上アップの方法を考える時間に使えるかもしれません。
いろいろな角度から生産性アップの方法がないか考えてみましょう。
3.柔軟な勤務や給与体系の設定を見直す!
飲食店ではシフトにより人件費をコントロールすることできます。
アイドルタイムなどうまくシフトを調整することで人件費を下げることができます。
また給与体系についても従業員の労働意欲向上につながるように整備して、労働分配率をうまく調整していきましょう。
まとめ
お店が稼ぎだした利益を適正に配分するためにも労働分配率の管理が大切です。
適正な人件費を考えることでお店に利益が残り営業を続けることができるのです。
しっかり経営数値を意識して飲食店経営に活かしていきましょう。
P.Sトラキチ税理士の独り言
完璧なシーズンオフに入り野球のない日々は寂しいものです。
今シーズンのナイスゲームを振り返りながらオフシーズンを過ごしたいと思います。