3月決算の会社については節税対策や利益対策をそろそろ考えないといけない時期にきています。
次年度に融資を受けたいなど銀行から良い評価を得るためにはできる限り決算は黒字で終えたいところです。
利益調整に使えると言われるのが減価償却費です。
減価償却費を計上しないで利益を出した場合に銀行の評価はどうなるのでしょうか?
減価償却費は任意計上でもいい?
法人税法では減価償却費は任意償却とされています。
そう、会社が減価償却費をいくら計上するか検討して決めていいのです。
つまり、減価償却費をいくらにするかよって利益調整ができてしまうということです。
税法に基づいた会計処理を行うことで、減価償却費を計上しない又は一部のみを計上することによって利益を計上することも可能です。
減価償却費を少なくすることで決算書の利益を大きく見せることができます。
減価償却費を少なく計上した場合の銀行の評価
減価償却費を任意償却できるのはあくまでも税法上の話です。
法人税を計算する時は減価償却費は自由に計上してもいいですよとなっています。
では、減価償却費を少なく計上して決算書の利益を良く見せた場合に銀行の評価はどうなるのでしょうか?
まずは中小企業の会計のルールである「中小企業に関する基本要領」を確認してみましょう。
減価償却は経営状況により任意で行うことなく定率法、定額法その他の方法に従い、耐用年数にわたり毎期継続して規則的な償却を行うこととされています。
はい。会計のルールでは減価償却費の任意計上は認められていません。
ですので、銀行は「本来計上すべき減価償却費を計上していないので粉飾している」といった評価になります。
粉飾は言い過ぎかもしれませんが、減価償却費を計上しないと銀行に対しては他にも利益を誤魔化しているのではないかと疑われる可能性もあります。
また減価償却費を少なく計上していたとしても、銀行は実際に減価償却費を満額計上した場合の利益に戻して融資審査を行います。
小手先の利益操作は意味がないということです。
銀行は正しい利益を求めている!
銀行が求めているのは企業会計のルールに則った正しい決算書です。
適正な決算書が銀行との信頼関係を高め、融資を引き出してくれるのです。
少しでも利益を出したいという社長の気持ちはわかりますが、小手先のテクニックでどうにかなるものでもありません。
逆に減価償却費を計上しなかったことによってあらぬ粉飾の疑いを抱かれ評価が下がってしまう方がダメージです。
月次決算を行い早めの利益対策で良い決算ができるよう準備しましょう。
また今期が赤字でも経営計画を作成し今後の見通しを伝えることで、銀行の評価がそこまで下がらない場合もあります。
適正な決算書で銀行との信頼関係を高めていきましょう。
まとめ
法人税法上は認められている減価償却費の任意形状ですが、銀行に対してはあまりよくありません。
銀行の評価を下げないためにもきっちり減価償却できるように利益を出していきましょう。
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