おはようございます。
茨木市の税理士、三松です。
今回は個人事業者が災害によって受け取った保険金の税務上の取扱いについてお話したいと思います。
事業用資産の損失額を超える保険金の取扱い
事業を営んでいる場合の機械や不動産貸付業を営んでいる場合の建物が災害により、被害を受ける場合があります。
最近では、台風や地震による被害を受けたという個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
さて、この被害を受けた場合は事業用資産の損失額として、必要経費に算入することができます。
損害額は経費として認めてくれるということです。
さて、火災や台風など災害に備えて保険を掛けていた場合に、その保険金を受け取った場合の取扱いがどうなるかということが気になる方もおられるのではないでしょうか。
保険金を収入で計上して、損失額を経費で計上しないといけないんじゃないか?
保険金は見舞金みたいなものだから非課税で損害額だけ経費に計上すればいいのではないか?
こんな風に取扱いに悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
どちらも正解ではありません。
2つの考え方の折衷案といったところでしょうか。
まず、損失額が保険金よりも多い場合は、損失額から受け取った保険金を控除した残額を必要経費と計上することになります。
収入と経費の両建てに近い考え方ですが、両建てはせずに保険金を控除した金額を計算して計上することになります。
では、損失額よりも多い保険金を受け取った場合はどうなるのでしょうか?
先ほどの考え方からいきますと、損害額を超える金額を収入で計上しないといけない感じがしますが、そんなことはありません。
損害額を超える保険金いわゆる保険差益については、収入に計上する必要はありません。
これは、損害保険契約に基づき支払いを受ける保険金や損害賠償金で、突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得するものに該当し所得税は非課税とされているからです。
このように、災害により被害を受けて保険金を受け取った場合の取扱いについては注意が必要です。
取壊し費用や除却費用を支払った場合の取扱い
災害による損失を受けた場合に、その資産について取壊しや処分するために、さらに経費を支出する場合があります。
そんな時に、保険金を受け取っていた場合にどういった取扱いになるのか事例で見ていきたいと思います。
火災により工場用建物が全焼し、保険金1,000万円を受け取った場合。
建物の帳簿価額 500万円 取壊し費用 300万円
このような場合では、建物の損失額の計算と取壊し費用の計算は別個で計算することになります。
まずは建物の損害額の計算です。
建物の損害額は、保険金で補填されることになるので必要経費として計上できる損害額はなく、保険差益500万円(1,000万円ー500万円)についても非課税として収入に計上する必要はありません。
そして、取壊し費用300万円については、別個の計算となるため必要経費として計上することができます。
保険金は保険の対象となるものの損失額の補填と考え、取壊し費用については、保険金で補填されたと考えることはしないということです。
まとめ
個人事業者が災害により保険金を受け取った場合の取扱いについてまとめてみました。
災害に合うことは、めったにない(最近では台風など多いかもしれませんが…)ので、保険金の取扱いに注意しましょう。