「自分のお店がいくら売上があれば儲かるのか」これを示す指標となる売上高が損益分岐点売上高です。
損益分岐点売上高を知ることで、いろいろなシミュレーションを行うことができます。
今回は飲食店における損益分岐点売上高の活用方法について解説したいと思います。
損益分岐点売上高とは?
損益分岐点売上高とは、お店が赤字にも黒字にもならない売上のことです。
損益分岐点売上高を越えればお店に利益が残り儲かりますし、損益分岐点売上高に届かなければお店は赤字になってしまいます。
算式で表すと
売上高 × 限界利益率(限界利益÷売上高)=固定費
となります。
(限界利益は売上から変動費(飲食店の場合は食材やアルバイトの人件費)を引いた数字です。)
損益分岐点売上高を知ることで、最低限いくらの売上をしないと利益が出ないということがわかります。
損益分岐点売上高をシミュレーション
先ほどの算式を活用することで損益分岐点売上高をシミュレーションすることもできます。
限界利益率が70%、毎月の固定費が70万円の飲食店の損益分岐点売上高はいくらになるでしょうか?
70万円 ÷ 70% =100万円(100万円×70%=70万円)
というようにこのお店が損益トントンになるためには毎月100万円の売上が必要になります。
損益分岐点売上高が100万円ですので、利益を出していくためにはもっと売上が必要ということです。
固定費が増加した場合の売上高はいくら必要?
新たに人を採用する場合や宣伝広告を打つなどで固定費が増加する場合があります。
先ほどの例で、売上高がそのままで固定費が35万円増えると、その分赤字となってしまいます。
では、いくらの売上を増やせばいいのか?
算式を組み替えて検討してみましょう。
固定費 ÷ 限界利益率 = 必要売上高
数値にあてはめると 35万円÷70%=50万円
つまり固定費が35万円増えても50万円の売上高が増えれば、損益がトントンという状態をキープすることができます。
この売上を達成できるかどうかを念頭におき、従業員の採用や広告宣伝を増やすのかといった施策を検討することになります。
損益分岐点売上高を把握することでこういったシミュレーションが可能となります。
資金面からみた損益分岐点売上高
借入金の元本返済額は固定費になりません。
借入金はしっかり儲けて利益から返済していかなければなりません。
しかし資金面から見た場合、固定費も借入金の返済も限界利益の稼ぎ高から支払う必要があります。
ですので、借入金がある会社については借入金の返済額も含めて損益分岐点売上高を考える必要があります。
借入金の返済額を含めた損益分岐点売上高の求め方
売上高×限界利益率=固定費+借入返済額
先ほどの例で、借入返済額が毎月14万円あったとします。
70万円(固定費)+14万円(借入返済額)=84万円の限界利益が必要ということになります。
そのための必要な売上高はいくらになるのでしょうか?
84万円÷70%=120万円が損益分岐点売上高となります。
120万円の売上があれば、借入金の返済をしても損益がトントンとなります。
つまり120万円の売上がなければ利益が出ていたとしてもお金はドンドン減っていくことになります。
資金面における損益分岐点売上高もしっかり把握するようにしましょう。
まとめ
損益分岐点売上高を活用したシミュレーションについて解説しました。
損益分岐点売上高を活用し、お店に必要な売上高を知ることで、お店の経営改善に役立てていきましょう。