決算対策で購入しても利益の圧縮にならない。在庫や貯蔵品に注意!

おはようございます。

茨木市の税理士、三松です。

本日は、決算対策のお話です。

 

決算対策で購入しても経費にならないものがあるのでご注意!

決算前になって利益が出ていると税理士さんから「何か必要なものがあったら節税対策になるので、決算月中に前倒しで買っておいてくださいね」とよく言われることがあるのではないでしょうか?

 

翌期に買う予定のものがあって、それを前倒しで購入すれば、当期の経費になりますので利益が圧縮できて税金を下げることができます。

しかし、購入するものによっては、利益に影響がない場合がありますのでご注意ください。

 

購入しても利益に影響がない場合

棚卸資産となる仕入を増やした場合

利益が出ているからといって、前倒しで商品や材料の仕入れを増やしても、利益の圧縮にはつながりません。

 

仕入を増やしても、その商品や製品が販売されていなければ、在庫となります。

算式で表すと次のようになります。

売上 500 ー 仕入 1,000 = ▲500

 

いっぱい仕入して赤字になったと思うかもしれませんが、仕入れた商品1,000がすべて在庫として残っているのであれば

 

売上 500 - 仕入 1,000 + 在庫 1,000 =500

という風に、仕入の1,000はなかったことになり、500円の利益が残り、節税対策になりません。

 

ですので、決算対策で期末に仕入を増やしても効果がありません。

 

印紙、切手、商品券などの購入

収入印紙や切手、商品券などを購入して、節税を図ろうと考える方も多いのではないでしょうか。

 

まず商品券については、取引先などの贈答用として使用する場合が多いと思いますが、交際費として経費となるのは商品券を実際に贈答したときになります。

期末において、まだ贈答していない商品券が残っている場合には、棚卸資産と同様に貯蔵品として在庫計上しなければなりません。

 

また収入印紙や切手についても同様です。

事務用消耗品など、毎年一定数量を取得し、経常的に消費するものについては在庫計上を省略しても良いという規定(法人税法基本通達2-2-15)がありますが、収入印紙や切手などの換金性があるものは、この規定の対象とされていませんのでご注意ください。

 

まぁ、収入印紙や切手が期末に少しだけ残っていて、在庫計上をしていなかったからといって、税務調査で指摘を受けるかというと可能性は低いかもしれませんが、原則は在庫計上が必要です。

もちろん、節税のために期末に大量購入したい場合は、アウトですのでしっかり在庫計上しなければなりません。

 

ということで、これも決算対策とはならないのでご注意ください。

 

固定資産となるものの購入

決算対策として車などの固定資産を購入する場合があると思います。

 

車などの固定資産となるものは、一括で経費に計上することができません。

減価償却といって何年かに按分して経費計上していくものなので、100万円で車を買ったからといって100万円全てが当期の経費になるわではなく、その一部が当期の経費となります。

 

また決算対策の場合は期末もしくはその1か月前の購入となる場合が多いので、当期に計上できる減価償却費をさらに月割りしなければならないので、減価償却費の1/12もしくは2/12しか経費に計上できないので、ほとんど経費とすることができませんので、あまり節税効果が得られないことに注意が必要です。

 

まとめ

上記のことをふまえて、決算対策に取り組みましょう。

ただ、経費を支払うのもお金、税金を払うのも同じお金です。

翌期にすぐ買う予定があるものを、前倒しで購入するのはいいと思いますが、必要かどうかわからないものを利益が出ているからといって購入するのは資金繰りを圧迫する可能性があります。

税金を払った方がお金が残るという現実もあります。

利益と資金としっかり見て、決算対策に取り組みましょう(^^)/

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