「粉飾決算をやりましょう」というお話ではありません。
粉飾決算は絶対にバレるのでやめましょうというお話です。
では、どうして粉飾決算に手を染めてしまうのでしょうか?
それは銀行から融資を受けるためです。
会社にとって資金繰りは重要で、経営者にとっても頭を悩ます問題です。
会社に資金があれば、たとえ業績が赤字でも倒産することはありません。
業績が悪くなれば、会社を存続させるために銀行から融資を受けなければなりません。
銀行の融資の判断材料にされるのが決算書です。
業績が悪ければ、銀行からの融資を受けにくくなってしまうので、粉飾決算をして業績を良く見せるわけです。
銀行に対して「うちの会社は儲かってますよ」とええかっこするわけです。
しかし、銀行も数々の決算書を見てきているので、粉飾決算の手口はわかっています。
粉飾決算をしたら「なんかおかしいなー?」と銀行員に簡単に見破られてしまいます。
粉飾決算のやり方
よくある粉飾決算のやり方を見ていきたいと思います。
もう一度言いますが、決して粉飾決算をやりましょうとういうことではありません(笑)
売上の水増し
粉飾決算でよくあるのが、売上の水増しです。
例えば、3月決算の会社が、4月の売上を前倒しで計上してしまう方法です。
4月に売上が計上できるんだから、ちょっとだけ先に計上してしまおうと軽い気持ちから粉飾決算に手を染めてしまいます。
この粉飾決算は実際の売上があるので、まだマシな方で(粉飾する時点で基本的にはダメですが)、もっと悪質なのが架空の売上を計上してしまう方法です。
ない売上を勝手に作って計上してしまうということですから、かなり悪質です。
仕入や経費を操作する
売上の逆で仕入や経費を操作する方法も粉飾決算でよくある方法です。
3月決算であれば本来3月の請求書は3月に計上しなければなりませんが、これを計上せずに翌月に持っていけば経費が少なくなりますので利益が出るということです。
また、経費の支払いを社長の個人立替として経費に計上しないといった方法もあります。
この場合、社長個人のお金で経費を支払うことになるので、けっこうたいへんです。
在庫を水増しする
商品や製品などの在庫を持っている会社は、在庫の金額を水増しすることで粉飾決算をすることができます。
在庫が増えると、利益も増えるので、正直一番簡単な方法かもしれません。
欲しい利益分だけ在庫の金額を増やせばいいわけです。
売上や経費だと相手先が出てきますが、こちらは社内のことなので簡単にできてしまいます。
社長の頭の中で「在庫で利益を調整しよう」という甘い言葉に誘われて粉飾決算をやってしまうのです。
銀行はどのようにして粉飾決算を見破るのか?
銀行は粉飾決算を見破ります。
粉飾決算をするとやっぱり数字がおかしくなってしまうので、そこに銀行員が気づくのです。
例えば、売上の水増しや仕入を操作すると、その相手科目である「売掛金」や「買掛金」の金額に異常値が発生してしまいます。
売上の水増しであれば、売掛金の残高が決算期末に異常に多くなってしまうことが考えられます。
架空売上の計上であっても同様に売掛金の残高が大きく膨らんでしまいす。
また仕入の操作をすると、今度は買掛金が異常に減ってしまいます。
毎月1,2ヶ月分の買掛金が残っているはずなのに、買掛金の残高が仕入の1ヶ月分も残っていないとなると「おかしいな」となるわけです。
銀行には決算書と一緒に税務申告書類の一つである事業概況書を提出することがあります。
事業概況書には、毎月の売上や仕入が記載されているため、決算月の売上が急増していたり、仕入が激減しているとそこから粉飾決算を疑われることになります。
在庫の水増しであっても同様です。
在庫を水増しすると在庫の金額が異常に大きくなってしまいますし、粗利益率も大きく変わってしまいます。
「こんなに利益率良かったでしたっけー?」と銀行から突っ込まれてしまうわけです。
やはり、数字は正直です。
粉飾決算をして業績を良く見せても、数字をいじると、どこかしらに歪みがはいって、別の数字もおかしなってしまいます。
そういった異常な数字の変化を銀行が察知して粉飾決算がバレてしまうというわけです。
粉飾決算は麻薬と同じ
粉飾決算は麻薬と同じです。
一度だけと思って粉飾決算に手を染めてしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
粉飾決算をするということは会社の業績が悪いということです。
そこで、翌年の売上を前倒しで持ってきて、利益を良く見せるわけですが、翌年の決算できれいな本来の決算書の数字にしようと思うと、前倒しで計上した売上分も含めてさらに利益を上げないといけないことになります。
業績が急激に改善されればできるかもしれませんが、粉飾決算までしてる会社が急激に良くなる可能性は低いのではないでしょうか。
そして、また決算になって利益が足らないと言って、翌年の売上を前倒しで計上したり、在庫を水増ししたりと、どんどんどんど粉飾する数字が大きなって、本来の決算書の数字を取り戻せなくなってしまうのです。
粉飾決算をすると実際会社が儲かっているのかがどんどんわからなくなっていくので非常に危険です。
まとめ
粉飾決算は絶対にやってはいけません。
粉飾決算をしても銀行にバレますし、悪質となると詐欺で訴えられる可能性もあります。
事業をしていれば、業績が悪くなる年も必ずあります。
大きな赤字決算にならないためにも、毎月数字を見て利益対策に取り組む必要があるのではないでしょうか。
また、事業計画書を作成して銀行に説明するなど、銀行との連携を深めることも重要です。
粉飾決算には手を染めないように、日々の取り組みが大切です。